現代中国語の移動を表す述補構造に関する研究

島村
■書名:現代中国語の移動を表す述補構造に関する研究
■著者:島村典子

■ISBN 9784872201987
■体裁 A5 判 284 頁 
■本体価格 4,000 円

【目次】
第1章 序論
1. 本書の研究内容について 1
1.1. 本書の考察対象
1.2. 本書の目的および方法論
1.3. 移動イベントの類型と分類方法
2. 移動を表す述補構造についての概論と諸定義
2.1. 方向補語について
2.1.1. 方向補語の範囲
2.1.1.1. 先行研究における方向補語の範囲
2.1.1.2. 異同の見られる方向補語
2.1.1.2.1. “起去”
2.1.1.2.2. “拢”類(“拢”、“拢来/去”)
2.1.1.2.3. “开去”
2.1.1.2.4. “走”
2.1.1.2.5. “到”類(“到”、“到…来/去”)
2.1.1.3. 本書における方向補語の範囲
2.1.2. 方向補語の二分法と三分法
2.1.3. 方向補語の品詞
2.1.3.1. 動詞説
2.1.3.2. 非動詞説
2.1.3.2.1. 助動詞説
2.1.3.2.2. 副詞説
2.1.3.2.3. アスペクト助詞説
2.1.3.2.4. 造語成分説・動詞語尾説
2.1.4. 方向補語が表す文法的意味
2.1.4.1. 各方向補語が表す移動の方向
2.2. 述補構造の文法単位
2.2.1. 語と見なす立場
2.2.2. 語とフレーズの中間的なものと見なす立場
2.2.3. フレーズと見なす立場
2.2.4. 本書の立場…27

第2章 意志的な自律移動を表す述補構造
1. 意志的な自律移動とは
2. 述語動詞と方向補語の意味関係
2.1. 先行研究と問題点
2.1.1. 動詞の意味特徴による分類
2.2. 分類の基準とその目的
2.3. 順行型述補構造(V=手段)
2.4. 同時型述補構造(V=様態/付帯状況)
2.4.1. 様態
2.4.2. 付帯状況
2.4.2.1. 動作行為の継続・繰り返し
2.4.2.2. 状態の継続
2.5. 逆行型述補構造(V=目的)
2.5.1. 時間順序原則について
2.5.2. 先行研究と問題点
2.5.3. 統語構造について
2.5.3.1. 逆行型述補構造と“V来了”、“V去了”
2.5.3.2. 述補構造と述連構造
2.5.4. 姿勢動詞とその動詞範疇
2.5.4.1. 姿勢動詞に関する先行研究
2.5.4.2. 姿勢動詞の位置付け
2.5.4.2.1. 姿勢動詞の語彙的意味
2.5.5. 考察…68
2.5.5.1. 述補構造と述連構造の置換が難しいケースから
2.5.5.1.1. 意味的要因
2.5.5.1.1.1. 移動空間の違い
2.5.5.1.1.2. 動詞の意味変化
2.5.5.1.1.3. 意味的重点の違い
2.5.5.1.2. 構文的要因
2.5.5.1.2.1. 後続する動作行為を展開させる機能
2.5.5.1.3. まとめ
2.5.5.2. 逆行型述補構造に見られる因果関係
2.5.6. 逆行型述補構造のまとめ
2.6. 意志的な自律移動におけるネットワークの様相
3. 本章のまとめ

第3章 二音節動詞と述補構造・述連構造
1. 述補構造に生起する二音節動詞
2. 「二音節動詞+“回来”」の統語構造と意味関係
2.1. 二音節動詞と様態解釈・デキゴト解釈の可能性
2.1.1. Va:様態解釈
2.1.2. Vb:デキゴト解釈
2.1.3. Vc:様態解釈/デキゴト解釈
3. 「Vc+“回来”」
3.1. デキゴト解釈のコンテクスト
3.1.1. Vの意味の特定化とメトニミーによるデキゴト指示
3.1.2. 複文の前件に現れるデキゴト解釈
3.1.3. 様態解釈とデキゴト解釈の差異――仮定的事態・反事実的事態
3.2. 様態解釈のコンテクスト
3.2.1. 経路の明示による継続義の活性化
4. 二音節動詞と陳述性・指示性
5. 本章のまとめ
 
第4章 無意志的な自律移動を表す述補構造
1. 無意志的な自律移動とは
2. 無意志的な自律移動の枠付けパターンに関する先行研究
3. 無意志的な自律移動における2つの枠付けパターンについて
3.1. VD型枠付けパターンとVdDd型枠付けパターンの比率
3.2. VdDd型枠付けパターンと移動主体の意味特徴
3.2.1. 自然の力
3.2.2. 移動機能を備えた事物
3.2.3. 涙・汗
3.2.3.1. 涙の移動
3.2.3.2. 汗の移動
3.2.4. ことばの類
3.3. VdDd型枠付けパターンの使用が難しいケース
3.4. VdDd型枠付けパターンと構文的特徴
3.4.1. 対挙形式
3.4.2. 四字形式
3.4.3. 擬人法
4. 本章のまとめ

第5章 使役移動を表す述補構造
1. 使役移動とは
2. 使役移動を表す述補構造についての先行研究
2.1. 動詞の意味特徴による分類
2.2. 使役移動文の構文的意味についての考察
3. 自動詞と使役移動イベント
3.1. ViDが表す使役移動イベント
3.1.1. 使役力の充足した使役移動(A)
3.1.1.1. 意図的な使役移動(Aa)
3.1.1.1.1. 使役者の心情の前景化(Aa-1)
3.1.1.1.2. 有情物に対する心理的な働きかけ(Aa-2)
3.1.1.2. 非意図的な使役移動(Ab)
3.1.1.2.1. 音声による働きかけ(Ab-1)
3.1.1.2.2. 物理的な働きかけ(Ab-2)
3.1.2. 使役力の不十分な使役移動(B)
3.2. ViDが表す使役移動イベントと“把”構文
3.3. ViDが表す使役移動イベントとコンテクスト

4. 本章のまとめ
第6章 類型論的角度から見た中国語の移動表現
1. 理論的背景
1.1. Talmyの理論的枠組
1.1.1. 語彙化モデル理論
1.1.1.1. 移動イベントについて
1.1.1.2. 動詞の語彙化パターン
1.1.1.2.1. 移動と様態/原因の語彙化
1.1.1.2.2. 移動と経路の語彙化
1.1.1.2.3. 移動と移動主体の語彙化
1.1.2. イベント統合の類型論
2. Talmyの類型論をめぐる議論と中国語の移動表現の特徴
2.1. Talmyの類型論をめぐる議論
2.1.1. 動詞枠付け言語
2.1.2. 等価枠付け言語
2.1.3. 「典型的な」付随要素枠付け言語に対する修正
2.1.4. 分裂型言語
2.1.4.1. 3つの移動イベントと枠付けパターン
2.1.4.2. 分裂型言語の特徴
2.1.5. まとめ
3. 英語と日本語から見た中国語の移動表現
3.1. 英語から見た中国語の移動表現
3.2. 日本語から見た中国語の移動表現
4. 移動を表す述補構造とその有界性に関する一考察
4.1. 「VDn+L」とその有界性に関する先行研究
4.2. 動詞の前後に位置する起点と経過点
4.2.1. 経過点とは
4.2.2. 前置式と後置式(“V出”の場合)
4.2.2.1. 後置式におけるLの性格
4.2.2.2. 前置式と後置式の認知
4.2.2.3. 抽象的有界空間と無界空間
4.2.2.4. 前置式と後置式における事態把握
4.2.3. 前置式と後置式(“V过”の場合)
4.2.3.1. 全域通過の完成
4.2.3.2. 無限の経過点における認知
4.2.3.3. 複数の経過点そして“过”の虚化
4.3. まとめ
5. 本章のまとめ

 第7章 方向補語“开”の意味ネットワークについて
1. 先行研究と問題点
1.1. 方向補語“开”の意味項目と分類について
1.2. 方向補語“开”の拡張プロセスについて
2. 単義と多義について
3. 意味ネットワークと拡張関係について
4. 方向補語“开”の意味項目と拡張関係3
4.1. <分離>、<広がり>、<収容>、<開始>、<離脱>義

4.1.1. <分離>義
4.1.2. <広がり>義
4.1.3. <収容>義
4.1.4. <開始>義
4.1.5. <離脱>義
4.2. いわゆる<明瞭>義について
4.2.1. <露呈>義
4.2.2. <達観>義
4.2.3. <解消>義
5. 方向補語“开”の意味ネットワーク
6. 本章のまとめ


第8章 結論

1. 各章のまとめ
2. 本書で残された問題と今後の展望


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